健康維持のためのフィットネスクラブを開設しようとした男性(57)がいました。運営会社を設立して、ビルの1部屋を借りようとしたところ、ビル所有者から会社の登記簿謄本と印鑑証明書を求められました。起業するとこの2つの書類を求められる場面は多々あります。今回は、登記簿謄本と印鑑証明書についてお話しします。
自社の登記簿謄本や印鑑証明書はあらゆる手続きで必要とされます。男性のように拠点を借りるときのほか、新たに取引契約を結ぶ、銀行で取引口座を開設する、といった際も必要。また、補助金申請など行政手続きの際にも、申請書とともに提出しなければなりません。
登記簿謄本は、会社が存在することの公的な証明書で、会社を設立する際に登記した情報(社名、事業内容、所在地、資本金、役員など)が記載されています。
法人登記には公示機能(一定の事柄を周知させる機能)があるため、登記所(法務局や地方法務局など)で申請し、交付手数料を払えば、誰でも取得できます。なお、「登記事項証明書」と呼ばれることもありますが、これはコンピューター処理された登記情報を印刷し、証明したもののことで、内容は登記簿謄本と同じです。
法人の登記簿謄本にはいくつか種類がありますが、よく必要になるのは主に(1)「現在事項全部証明書」(2)「履歴事項全部証明書」です。現在有効な事項のみを記載しているのが(1)。(2)には(1)に加えて過去の登記事項の履歴も載っています。取得の際は、どちらが必要か確認しましょう。 一方印鑑証明書は、例えば取引契約を結ぶ際、契約書に捺印(なついん)された印が、間違いなくその会社の印であると確認する際などに使います。取得は代表者かその代理人に限られ、専用のカードが必要です。
交付手数料は、登記簿謄本(登記事項証明書)が600円、印鑑証明書は450円。インターネットを通じて請求すると、それぞれ480円、390円(窓口交付の場合)と少しお得です。
男性は会社の登記が完了し次第、すぐに登記簿謄本と印鑑証明書を取得することにしました。「発行から3カ月以内」のものを求められることが多いため、必要な枚数を確認しているところです。