イベントなどのフラワーアレンジメントを請け負う仕事で起業したばかりの女性(43)から、ご相談がありました。少し前に初めて仕事の依頼が舞い込み、先方から「見積書を出してほしい」と言われたものの、作成の仕方が分からないとのこと。今回は、見積書や請求書など取引に必要な書類についてお話ししたいと思います。
見積書は、商品やサービスの内容とともに、何にどれだけの費用がかかるか、ということを顧客に理解してもらうためのものです。
作成に当たっては、料金に含まれるものを一つ一つ明記し、含まれないものも明らかにしておくことが後々のトラブルを避けるためにも必要。「~一式」などと曖昧な表現はやめましょう。
また、有効期限を記載すると、先方に発注の判断を促すことになります。また、原料費などの変動に対応しやすくなるメリットがあります。有効期限の期間に法的な制約はありません。扱う商品や状況に応じて適切な時期を定めましょう。管理は発行日や通し番号で行うと、先方から後日、連絡を受けたときも分かりやすいです。
なお、いったん提示した見積もりに対して、顧客から価格や納期の変更や新たな要望があった場合は、検討の上で新たに見積書を提出します。
見積もり内容に顧客が納得し、正式に注文を受ける際は、発注書の発行を依頼します。突然のキャンセルに備えるためでもありますので、口頭ではなく、書面かメールでいただくようにしましょう。その後、正式に受注したことを示す、発注(注文)請書(うけしょ)を送付します。商品やサービスを提供したら、納品書と請求書、または双方を兼ねた書類を作ります。こちらにも明細をきちんと記載しましょう。
こうした書類は郵送が一般的ですが、最近はメールで送付する方も増えました。この場合は捺印(なついん)できないため、表計算ソフトなどで作った書類のデータに、会社印の印影画像を挿入します。送信するときは、改竄(かいざん)を防ぐため、書き換えることができないPDF形式(電子文書の一種)のファイルにして添付しましょう。
女性は見積書で花の種類や本数に加え、技術料などの細かい内訳をきちんと説明することで、無事受注することができました。納品した作品も好評だったそうです。