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産経新聞・片桐実央の起業相談

【片桐実央のゆる起業のススメ】「黒字倒産」を防ぐのに必要なことは…

 女性用のTシャツを制作・販売する会社を経営する男性(44)がいます。生地を仕入れて縫製工場に持ち込み、完成した製品を販売店に卸しています。製品自体の評判は良いのですが、代金が入るのは卸してからなので、大量注文されると、仕入れ資金の工面に苦労することがありました。売り上げがあって利益が出ていても、入金のタイミングがずれて仕入れ先や外注先、従業員への賃金を支払う資金が足りず、経営が厳しくなることがあります。これを黒字倒産といいます。そうならないために、今回は運転資金の不足を防ぐためのポイントを紹介します。

 【入金、支払い時期の交渉】顧客からの入金は、注文時の前払いか、納品時に現金で支払ってもらうのが一番ありがたいですが、事業によっては難しいこともあります。例えば毎月末日を1カ月分の取引代金の締め日として請求書を作成し、翌月の20日に振り込んでもらう、といった場合です。この締め日から支払日までの猶予期間を「支払いサイト」といいます。運転資金に苦労しないために、取引を始める前に、この猶予期間をなるべく短く設定できるよう交渉しましょう。

 逆に、仕入れ先・外注先などへの支払いは遅らせたいところ。起業したばかりのときは、信用力も低く言い出しにくいですが、取引量が増え、安定した取引ができてきたタイミングで交渉してみると、成功することもあります。
 【資金繰り表の作成】毎月いくら入金があり、いくら支払わなければならないかを予測して、収支の動きを把握するための表を作成しましょう。少し長めに向こう3年(36カ月)分の収支予測を書きだしてみると、いつ頃苦しくなりそうかという見通しが立ちます。資金繰り表のひな型はインターネットから入手できます。

 予測してみて資金不足になりそうなら、早めに資金を調達する準備をしましょう。支払日が迫ってから金融機関に融資を申し込んでも、審査に時間がかかる場合もありますし、必ず支援してくれるとはかぎらないからです。

 男性は、自社の事業がそもそも資金不足になりやすいビジネスだと理解し、資金繰り表は定期的に作成するようにしました。そして、融資が必要なときのために銀行との関係づくりも大切にしました。

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