前回に引き続き、ピアノ教室を自宅で開業したい女性(54)からの相談です。個人事業主として開業した場合の税金の納め方についてお伝えします。
まず、個人事業主として開業するために「個人事業の開業・廃業等届出書」を所轄の税務署に提出します。用紙は国税庁のホームページなどからダウンロードできますが、直接持参するか郵送で提出します。手数料はかかりません。
個人事業主になると、必ず1年に1度「確定申告」と呼ばれる方法で所得税を納めなければなりません。節税効果の高い「青色申告」を考えましょう。青色申告の正式名称は「所得税の青色申告承認申請書」です。複式簿記など一定の様式で帳簿をつけると、納税時に最高65万円の控除を受けることができます。青色申告用に会計管理を支援するパソコン用ソフトウエアを使って自分で帳簿を管理する個人事業主も多いようです。
一方、青色申告以外の、自由な帳簿による申告は「白色申告」と呼ばれます。青色申告をする個人事業主になると来年1月下旬頃、「確定申告書用紙」が入った封書が届きます。その用紙に、今年1月から12月までの売り上げと経費を計算して1年間の利益(所得)と所得税を書き入れ、翌年2~3月に税務署に申告します。インターネットからの電子申告もできます。
1年に1度の所得税の支払いを忘れてしまったり、予想以上に納税額が大きくなったりして、納税のために借金をする個人事業主もいます。毎月の利益を使い過ぎないよう、納税用の口座を別に設けるなどして対処しましょう。
もう一つ、忘れてはいけないのが消費税です。消費税は利益のない赤字経営の事業主も納税します。ただし、開業してから2年間は免除です。また、3年目以降も売り上げが年間1000万円以下の事業主は免除されます。自宅で小規模にピアノ教室をしている個人事業主の場合は、それほど神経質になる必要はないでしょう。ただし、1000万円を超える場合は、売り上げのあった年の2年後から、消費税を支払わなければなりません。
個人事業主の届け出を済ませた女性は、青色申告で確定申告をしようと、帳簿のつけ方を勉強中です。