起業する年には、「起業の年間計画表」を作成することをお勧めします。表の横軸には今年1月から12月までの時間軸を、縦軸には起業の前後で実施する項目を記載します。項目ごとに実施の開始から完了予定までを矢印で結び、「これは4月から始めて2カ月間かかる」などが一目で分かるように書きましょう。一般的な実施項目と所要月数の目安を説明します。
(1)事業計画書を作成する(3カ月)
事業内容が固まってきたら、「事業計画書」を作成します。販売や資金計画、事業内容の説明資料としても有効です。また、起業についての課題やリスクを把握することができます。
(2)事務所の場所選び(1カ月)
起業をする際は、事務所の場所や打ち合わせ場所を決めましょう。定年前後での起業の場合、事務所として自宅やレンタルオフィス、打ち合わせ場所として喫茶店やホテルを活用する人が多いです。
(3)個人開業・法人設立準備(2週間)
事業計画書の作成後、開業・設立の準備をします。個人事業主として開業する場合は、開業してから1カ月以内に税務署へ開業届出書を提出します。法人の場合は、会社の基本規則を定めた「定款」を作成し、公証役場で定款の認証後、法務局へ設立登記をします。登記完了後は、税務署への法人設立届出書も忘れずに提出しましょう。
(4)補助金の申請(2カ月)
起業のための資金を調達する手段として、国や自治体などの公的な補助金などがあります。特に起業準備には「創業・第二創業促進補助金」がお勧めです。前回のコラムで紹介しましたが、この補助金は9日に予算案が閣議決定されたばかりなので、詳細はこれから発表されます。補助金の申請をしてから数カ月後に採択結果が発表され、採択されたら約半年から1年の間にかかった経費の3分の2が補助されます。
(5)融資の申請(3カ月)
金融機関に融資申請ができるのは、これから使う予定の経費だけです。初めての融資は、審査などに時間がかかるので、早めの準備が必要です。
(6)採用活動(3カ月)
従業員を採用する場合は、事務所などの勤務地が決定してから、求人の手配をします。勤務地が決定していない場合、ハローワークなどに求人依頼を出せない場合もあります。
(7)販路開拓・集客(3カ月)
事業の安定には、集客方法が大切です。起業時は最も効果が高そうなものから試しましょう。ホームページやチラシの内容を考え、業者に発注し、完成してから集客が始められますので、早めに準備しましょう。
年間計画の作成により、起業に際し実施した方が良い項目の洗い出しができ、実施に必要な期間や順番が明確になります。やらなくてはならないことの漏れもなくなりますので、ぜひご活用ください。