シニア世代の「ゆる起業」は「やりたいこと」が「得意」で、「市場性がある」分野を選ぶのが成功の秘訣(ひけつ)です。以前、ビジネスアイデアの捻出法として、「やりたいこと」や「得意なこと」を見つけるためには自己の棚卸しなどの必要があるとお話ししました。今回は3つ目、「市場性」について考えていきたいと思います。
例えば、面倒見がよく、他人と接することが好きな方が結婚相談での起業を考えたとします。婚活ブームといわれる現代、結婚相談のお仕事はどれほどの需要があるのでしょうか。市場調査をする際には、日本全体を確認するマクロ的視点と、実際に人と会って需要を確認するミクロ的視点、この双方向の考え方が必要です。
前者では国全体の市場規模を確認します。市場規模、つまり、その業界の売り上げ全体を確認する一つの方法として、インターネットで「(業界の名前) 市場規模」と入力して検索してみましょう。主要な業界であれば、業界ごとの市場規模をまとめたホームページが見つかります。市場規模を確認すると、縮小傾向や拡大傾向にあるのかが分かります。
起業しようとした業界が縮小傾向であった場合、少し気をつけましょう。縮小傾向にある場合は、自社が生き残っていけるだけの強みや他社との差別化をはっきりさせる必要があります。
市場規模を捉えたら、次は後者の確認です。顧客になりそうな人にニーズがあるかを実際に確認します。これを「テストマーケティング」と言います。事業や製品、サービスを本格的に展開する際、テスト的に実施し、事業計画の検証を行う活動のことです。
ターゲット、つまり顧客となりそうな人を、友人や知人、あるいは交流会などで会った人、ホームページなどで募集した人の中から探し出し、ご自身が考えた商品・サービスを提供します。
テストマーケティングの際には料金は半額や無料に設定し、広く意見を募りましょう。今後の要望や改善点などをアンケートなどで回答してもらい、本格的に起業する前にサービスや価格設定など事業のやり方について見直す機会をつくるのです。
結婚相談の例で言えば、相談料の設定やサービス体系など、どんなものが求められているかを把握することが肝心です。顧客の趣味嗜好(しこう)、考え方、潜在的なニーズを理解し、それに合う商品・サービスをつくれば、起業後にお客さんになってもらいやすくなります。
そして、将来購入してもらえそうであれば、「見込み客リスト」を作成して、お名前や連絡先、いただいた意見などを残しておきます。起業したときは、この名簿にある人たちにダイレクトメールや開業のお知らせを送りましょう。見込み客リストが充実していればいるほど起業後の売り上げが上がりやすくなります。