システムエンジニアとして働いた経験を生かし、業務効率化のコンサルタントとして起業しようと考えている男性(52)がいます。会社設立にあたり、印鑑が必要なのはわかっていましたが、さまざまな種類があるため、何を購入したらいいのか迷っていました。今回は、起業時の印鑑についてお伝えします。
≪種類≫ 一般的には、次の4種類を用意するのがいいと思います。
(1)最も重要な印鑑で、契約書などに使用し、法務局に登録する「実印」(2)金融機関に登録し、預貯金口座開設などに使う「銀行印」(3)登録の義務はなく、会社の“認印”として請求書や領収書などに押す「角印(かくいん)」(4)本店所在地、電話やFAX番号、会社名、代表者名が彫られ、契約書の署名欄などに直筆でサインする代わりに使用する「ゴム印」-です。
実際は、実印が1つあれば会社の運営は可能です。しかし、印鑑を押す機会が増えれば、悪用されるリスクも高まります。リスクを分散させるためにも印鑑を分け、使い分けることをお勧めします。
≪形・大きさ・材質≫ 決まりがあるわけではありませんが、実印は丸印18ミリ、銀行印は丸印16.5ミリ、角印は四角印18~24ミリが一般的です。材質もさまざまですが、特に好みの材質がない場合は「本柘(ほんつげ)」か「黒水牛」が無難かと思います。前者は、木材の中では密度が高く繊維が緻密で硬度も粘りもあり、彫刻に適しています。後者は、漆黒の光沢が特徴の大人の印鑑。耐久性があり硬度も粘りもあるため、長期の使用に耐えられます。
取り扱いについて 1人で仕事をしているうちはいいのですが、従業員を雇うなどした場合は印鑑の取り扱いに注意が必要になってきます。具体的には、「印章管理規程」を定め、運用ルールを文章化してもらいたいと思います。定める項目としては、使用範囲や保管場所、管理責任者、押印手続きなどがあります。
また、角印については、印影をスキャンしてパソコンなどに取り込み、電子化してもいいかと思います。見積書や請求書に画像を付けることができるので、書面を紙として郵送せずに、インターネットのメールにファイルとして添付し送ることができるので、より便利になります。
男性は早速、4種類の印鑑を注文し、起業の準備を進めました。