飲食店の経営者や従業員を対象に、訪日外国人客(インバウンド)への接客研修を企画する会社を立ち上げたい女性(46)がいました。起業の際、店舗賃料や広告宣伝費用を節約できないか相談を受けました。今回は、固定費節約のコツをお伝えします。
いくら事業の成功に自信があったとしても、リスク回避の段取りを踏むことは不可欠と心得てください。起業時は小さな事業規模から始めることがポイントです。つまり、初期投資を抑え、毎月かかる固定費を少なくすることです。万が一、思うように事業が展開できなかったとしても、損失を最小限にとどめることができるのです。
では、固定費ごとにどのような対策を取ればいいのか、具体的に見ていきましょう。
店舗賃料 まず店舗を持たずに事業ができないか考えてください。例えば、客が来店するサービスではなく、自らが顧客のところに足を運べば、店舗はなくても事業は可能です。
事務所賃料 店舗同様に、事務所も必需というわけではありません。自宅を事務所として利用したり、レンタルオフィスを利用したりすることを検討してください。
在庫 小売業などの場合は、在庫を持たなければ、売れ残りのリスクを回避できます。例えば、仕入れ先と販売先に直接取引をしてもらって、自社はその売り上げに対して、一定の割合を手数料として得るなどの方法があります。注文を受けてから仕入れる「受注発注」の形態を選べば効果的。インターネットを活用して通信販売の方法を取ってもいいと思います。
人件費 従業員を雇うと、毎月の人件費以外に、社会保険料の負担も発生します。自社でまかなうのではなく、外部の業者に依頼するなど、費用が安くなる方法を模索してほしいです。
広告費 無料や低料金で広告物を制作できるサービスが増えてきています。チラシやホームページを業者に依頼するときも、ネットを通じて不特定多数の人に仕事を発注する「クラウドソーシング」と呼ばれるサービスを活用すれば、より低価格で仕事を請け負ってくれる取引先を探すことができます。
女性は、事務所を持たずにレンタルオフィスを借りて法人登記しました。研修の要請を受けたときだけ、外部に資料の制作を依頼し、その都度料金を支払う請負契約にして、固定費の節約に努めています。