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産経新聞・片桐実央の起業相談

【片桐実央のゆる起業のススメ】シニア起業の落とし穴

 起業に関心を持っている男性(50)がいます。失敗するのが怖いので「これだけはしてはダメ」ということを知りたいとのこと。今回は特に50歳からの起業で、気をつけたいことを8つお話しします。

 50、60代の起業家の強みは、豊富な経験や人脈を生かせること。ところがベテランこその自信や成功体験が逆に弱みになることもあります。

 (1)前職で培ったつてを当てにし過ぎる 起業当初、サラリーマン時代の人脈を頼るのは仕方のないこと。しかし実際には、その人たちから仕事をもらえたら、かなりの幸運です。本当の「独立」のために新しい顧客を積極的に開拓しましょう。

 (2)横柄な態度をとる 大会社で要職に就いていたりすると、ついその延長線で物事を考えがちです。起業後は新人に戻るくらいの謙虚な気持ちで臨むと、周囲の人も好意的に受け取ってくれます。

 (3)前の会社名や役職を名刺に書く 「元〇〇商事」などと書かれた名刺は、あまり良い印象を持たれません。会社名は会話の中で伝えましょう。

 (4)市場調査をせずに過度な自信を持つ 前職の経験を生かして起業する人は約8割に上りますが、同じ分野で起業すると、いわゆる「勘」で動いてしまいがち。他社との差別化を図るためにも、競合他社の動向など市場調査をきちんとしましょう。

 (5)過去の成功体験に固執する かつての成功が忘れられず、今のニーズをつかめない、またはつかもうとしない人も。時勢に合わせた商品・サービスの改良は必須です。

 (6)初期投資をかけ過ぎる 最初にお金をかけ過ぎると、計画通りにいかなくなった場合に軌道修正がしにくくなります。

 (7)誰にも相談しない 家族や先輩起業家、起業支援の専門家などにアドバイスをもらうと、より広い視野で事業計画を見直すことができます。

 (8)もうけにこだわり過ぎる 前職での取引額とは比べものにならない小さな仕事でも、人々に感謝されるやりがいのある仕事を、無理せず、健康第一でやるのが長続きの秘訣(ひけつ)です。

 男性はこの8つを踏まえ、改めて、起業のための事業計画を見直しているところです。

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