介護離職の防止は政府も大きな課題としていますね。大手証券会社を早期退職し、介護現場で働いた経験をもとに、介護離職を防ぐためのセミナーや個人相談サービスを事業化して起業したのが田中肇さん(59)です。
田中さんは昨年1月に大手介護サービスを退職し、3月にワークケアバランス株式会社(http://work-care-balance.co.jp/index.html)を設立しました。田中さんは大手証券会社に19年間勤務していましたが、早期退職に応じてコンサルティング会社を設立したのです。ところが家族の介護問題に直面し、いったん、その会社をクローズしました。介護問題が一区切りついて田中さんは大手介護サービス企業に入社し、介護の世界に足を踏み入れます。
「50歳を過ぎてからで、総合職としての採用でしたが、現場からスタートさせてほしいと頼み、介護サービスの厳しい現場を経験しました」(田中さん)
その後、営業担当となった田中さんですが、金融機関と一緒にセミナーを開くなど独自のやり方で顧客を開拓します。そこで感じたのが、介護の仕事は細分化されていて、包括的に見ることができる人材が少ないということでした。
「新聞で介護離職に関する記事を読み、介護離職を防止するサービスを事業化できないかと考えました。自分で事業を行うのはリスクもありハードですが、自分の経験と年齢、タイミングは今しかないと考えて組織を出ることにしたのです」
田中さんによると、大手よりむしろ中小企業の方が介護離職のリスクに敏感とのこと。今、田中さんは順調に事業を展開しています。 (取材・構成:藤木俊明)