松下正宏さん(54)は長年の会社員生活に別れを告げ、今年5月に独立・起業しました。新しい事業は、地方から東京に来る人の出迎え・送迎・同行サポートを行うというものです。
松下さんが気づいたニーズは旅行弱者、とくに高齢者の人たちは東京に来たいけれど不安が多いということでした。たとえば、元気なうちに靖国神社に参拝したいけれど、東京は交通が複雑でとても自信がない、という声を聞いたそうです。
また、松下さんは上京者以外にも、都内やその近郊に住んでいる人たちが国内外の旅行や冠婚葬祭に出かける際の移動サポート事業も展開しています。東京で生活し、仕事をしているわたし(片桐)でさえも、交通機関の乗り換えなどは複雑だなと感じていますからね。
旅行業ではなく、「水先案内人」というサービス業であれば資格不要だと確認した松下さんは、株式会社ベルサポ(http://www.berusapo.jp/)を設立することにしました。
起業にあたっての法人の設立は、わたしがお手伝いしました。松下さんは「やはり、法人でないと信用力がないと感じたんです。ホームページを充実させて、そこからの申し込みを主にしようと考えました」と言います。
「この仕事を始めてうれしかったのは、お客さまからとても感謝され、『ああ、社会の役に立っているんだなあ』と実感できることです。また、お客さまと接点ができて、リピーターになっていただいたり、(他の人を)ご紹介を受けたりしたときもうれしいです。つらいのは…、仕事がないときですね(笑)」
今後はシニアだけでなく、受験や社会見学などで上京するジュニア層もターゲットに仕事を広げていきたいそうですが、一気に大きくするのは危険なので、運転資金は低く抑えて、徐々にサービスを拡大したいとのことです。
最後にご案内です。9月30日午後6時30分から日本政策金融公庫東京中央支店(東京都中央区新川1の17の28)で開催される「第5回創業支援フォーラム」に、わたしも登壇しますので、ご興味のある方はおいでください。問い合わせ先はkntokyo.sogyo@jfc.go.jpです。 (取材・構成:藤木俊明)