定年になってからあれこれ考えるより、定年というゴールの時期が見え始めたころから、早めに起業準備することをおすすめしています。しかし、「起業なんてとても無理」とおっしゃる方もいます。そこで私は「ゆる起業」という、あまりリスクを背負わない方法をご紹介するのですが、やはり「起業」という言葉には大きな壁を感じるのでしょう。
定年後のことは何か考えなくてはいけません。けれど、「同じ会社に長い間勤めていると、会社に頼らないビジネスのセンスがさびついてしまう」という声も聞きます。会社の看板で仕事をし、給与を受け取っていると、自分でお金を稼ぐという感覚がなくなってしまうというわけです。会社員の方が起業という言葉にたじろいでしまうのも無理もありません。
そこで、定年前から「副業」を通じて自分のビジネスセンスをブラッシュアップする。いわば「リハーサル」を経験するのはどうでしょうか?
「会社で副業は禁止されている」という人もいるでしょう。しかし、そういう人でも会社の就業規則をよく読んでみてください。本音で話せる人事部の知り合いがいたら、「本当に副業はダメなのか? できるとしたらどんな場合か?」と相談してみましょう。ある程度は問題なさそうだ、という感触がつかめたら、副業に取り組むことを考えてみましょう。
一口に副業といっても、私が知るかぎり、「講師をして謝礼をもらう」といった程度のことは許容している会社もあると思います。自己の経験を生かして講師をつとめ、会社の名前ではなく自分のスキルで報酬をもらえるのは得がたい経験です。そこから、定年起業へのヒントを拾うことができるかもしれません。
最近は学問的な講師より、ビジネス現場での経験を聞きたいという要望も多いと聞きます。どんな講師が求められているのか、ネットで「講師募集」の情報などを調べてみましょう。けっこう募集していることに驚かれると思います。 (取材・構成:藤木俊明)