起業には準備期間が必要です。今回ご紹介する勅使河原(てしがはら)修さん(52)は会社員時代、起業を決意して会社に相談したところ、希望を受け入れてもらえ、会社に勤めながら準備できました。シニア起業のお手本にしたい事例です。
「私はゼネコン、不動産会社など建設畑で30年やってきました。ゼネコンは会社が厳しい状況に追い込まれ、希望退職制度に手を挙げました。その後の不動産業では、環境関連事業の部門の責任者として、ある事業を育て上げたのですが、会社と方針が合わなくなり、独立を考え始めました。そして2012年の秋に会社と話をしたのです」(勅使河原さん)
最後の会社では重要なポジションにいたため、会社設立を容認してもらい、半年間は契約社員として契約を続けるという条件になった。勅使河原さんはその期間を利用して、準備を整えることができたのです。
そして同年、株式会社建修社(http://e-sagami.jp/kenshu-sha.com/)を設立し、建築改修のコンサルと施工を行っていくことになりました。
「独立を考えたとき、何が不安かというと、やはり顧客がつくかということですよね。しかし、幸い、その準備期間中に1社と契約を結べて、一安心しました。現在、もう1社と話が進んでいます。まとまれば忙しくなるので、次は人を雇うことも考えねばなりません」(勅使河原さん)
勅使河原さんは建築設備士、1級建築施工管理技士、建築物環境衛生管理技術者などの多くの資格を持つ建築設備や施工のエキスパートで、会社としても、すぐに手放すことはできない人材だったのでしょう。そこは勅使河原さん個人の強みだと思いますが、起業を考えてすぐに会社をやめるより、会社と話をして、一定期間の収入を確保しながら起業準備をするという方法は、参考にしたいところです。 (取材・構成 藤木俊明)