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夕刊フジ・定年起業への挑戦

化学品取り扱う法人企業を設立 大手との競合避け小規模商材で勝負

大手商社で順調にキャリアを重ね、定年を迎えた福島賢造さん(64)は昨年12月ごろ、シニア起業サポート専門の「銀座セカンドライフ」(http://ginzasecondlife.co.jp/、(電)03・3545・1765)を訪れました。

会社員時代は起業しようという気持ちはさらさらなかったのですが、定年退職後どうやって過ごそうかと考えたとき、「引退はまだ早い」と思い立ったのだそうです。そして、これまでの経験や人脈を生かせないかと考え、定年退職後の昨年9月ごろから起業の準備を始めたそうです。

どんな事業を行うかについては、商社在職時にすでにヒントを得ていました。商社で担当していたのは化学品。5カ国に駐在し、海外支店長もつとめました。そんなキャリアの中で福島さんが気づいたのは、「大手商社が扱いづらい市場というものが存在する」ということです。

大手商社は、大きくて値の張る商材を扱いたがります。タンカー単位の、規模の大きな取引です。半面、取引量の少ない市場はあまり相手にしたがらない傾向があるようです。とくに化学品は種類が多く、商品によって取引単位や取引規模もまちまち。大手商社によるビジネスの死角になっている市場なのです。

大手と競合しないこの分野について、自分の経験や人脈を生かせるのではないかという結論に達した福島さんは銀座セカンドライフの会員となり、同社代表で『「シニア起業」で成功する人・しない人』(講談社+α新書)の著書も持つ片桐実央さんと起業プランを練りました。

競合の少ないビジネスを見つけ出すことは、熟年起業に限らず、どのビジネスにも有効です。福島さんは、自分の名前のイニシャルを冠した「KFトレーディングカンパニー合同会社」を設立し、走り始めました。

片桐さんは次のように語ります。

「福島さんは個人事業主のままでいくか、法人を設立するかということで迷われていました。BtoB(企業間取引)がメーンの事業であれば、法人としての受け皿がないと厳しいです、と法人設立をアドバイスさせていただきました」

現在の福島さんは、多忙ながらもサラリーマン時代に感じていた制約がないことに、大きな魅力を感じているそうです。

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