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夕刊フジ・定年起業への挑戦

「トッカン」経験財務・経営に生かす 経営者と調査官 双方の目線で橋渡し

“トッカン”とは特別国税調査官の通称。いかめしい印象を持たれる人も多いでしょう。

堀内章典さん(56)は、トッカンとして、数多くの企業に乗り込んで税務調査を行いました。その経験の中で、伸びる会社、うまくいかない会社の違いが分かるようになってきました。

不正な財務状況の会社もたくさん見てきましたが、そのほとんどは経営者の知識不足や認識不足によって起きたもので、そんな知識もアドバイスしてあげれば、経営者はずいぶん助かるのではないか、と堀内さんは思いついたそうです。

そこで堀内さんは、経営コンサルタントへの転身を考えました。定年を待たずに税務署を退職し、株式会社SKCを設立したのです。

同社の主な事業内容は、事業計画の策定から事業継承時に発生する税務問題の解消など、多岐に渡ります。堀内さんはトッカン時代、税務調査で萎縮してしまう経営者たちを数多く見てきたことから、自身が税務調査に立ち会うことも業務内容に盛り込みました。経営者と調査官、両方の目線を持つ自分が立ち会うことで双方の橋渡しをしたいと考えたのです

「恐らくトッカンのままでも経営者の方々にアドバイスはできたと思います。しかし、同じ“経営者”という肩書を持つことにより、クライアントからの親近感を得やすくなるはずだと思い、起業しました」(堀内さん)

起業後の問題は、顧客の獲得でした。そこで堀内さんは、シニア起業をサポートする「銀座セカンドライフ」(http://ginzasecondlife.co.jp/、(電)03・3545・1765)の会員になりました。

代表の片桐実央さんと話し合った堀内さんは元トッカンの経験を生かし、依頼を受けた会社にバーチャル税務調査を行い、会社の経理や税務上の問題点を改善する新企画「タックスオペレーション」を立ち上げました。そして、優良申告法人になるまでのサポートもオプションに加えました。

「50代で起業を考える方に多いのは、定年退職の時期が見えてきたことで『自分の人生はこれでいいのか?』と疑問を持ち、そこから行動を起こすパターンです。まだ体力のある50代のうちに起業し、次の夢を見ようとお考えになるのですね。堀内さんは前職での経験が豊富で、それを生かしてスムーズに起業できたと思います」(片桐さん)

安定した公務員の職を辞し、自分の夢に向って走り出した堀内さん。その夢は一歩ずつ実現に近づいているようです。

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