栄坂均さん(58)は総合商社に34年勤務し、貿易事務や不動産開発、REIT資産運用会社などの実務を経験しました。定年2年前に退職を決意し、準備期間をおいて起業するつもりでいましたが、思いのほか早く仕事の話が舞い込み、コンサルティング会社を立ち上げる必要に迫られました。
「どこに会社を置くかは起業を決意してからの悩みでした。事務所を開き、維持するには大きな費用がかかります。いろいろ見て回ったものの、これといった物件に巡り合えず、悩んでいました」(栄坂さん)
2012年の夏、栄坂さんは偶然、銀座セカンドライフの看板を見て、『ここは自分に向いているのではないか』と当社に飛び込みでいらっしゃいました。私(片桐)は当社がシニア起業サポートの会社であること、会員はレンタルオフィスが使えること、法人登記も可能なことなどを説明させていただき、法人設立のサポートをさせていただくことになりました。
お話を伺った結果、栄坂さんのお仕事はBtoB(企業間取引)がメーンになるので、法人格が不可欠と考えました。そこで、比較的に設立費用のかからない『合同会社』という形態での設立をお勧めしました。
その後、栄坂さんは「合同会社インタープレイ」を設立し、成長を続ける会社の社外取締役を務めるなど精力的に活動を展開されています。
「自分の力で物事を進めていけること、時間を思う通りにマネジメントできること、組織のしがらみから離れて判断や発言ができることは起業してよかったと思うことですね」(栄坂さん)
これから定年を迎え、起業を考える方に対し、栄坂さんは次のようにエールを送ってくれました。
「起業に対する不安はあって当然でしょう。そんななか、大切なのは人脈です。仕事に関係ない付き合いができる人が200人以上、その中で親身になってお互い相談しあえる人が、できれば10人、最低でも5人いれば心強いと思います」 (取材・構成 藤木俊明)