シニア起業のために、何か資格を取っておきたいと考えている人も多いでしょう。しかし、資格を取得しても、すぐそれでやっていけるかというと、なかなか甘くはありません。すでに同業者が多数いるうえ、商売に厳しい企業の経営者から、資格者というだけでお金をいただくのは簡単なことではないのです。
昨年10月に、私(片桐)が代表をつとめる銀座セカンドライフの会員になっていただいた服部光雄さん(53)を紹介します。服部さんは、もともとの地盤だった滋賀から東京に活動の軸を移すことを決意し、第2創業とも言えるコンサルティング会社「株式会社ユメタス」を昨年10月に設立した。
服部さんは1989(平成元)年、滋賀県で税理士として開業した。以来25年、地元の中小企業のサポートをされてきたのですが、3つのきっかけで、第2創業を決意したとのことです。
「1つめは、情報や人材の集まる首都圏で仕事をすることが夢だったことです。2つめは、IT技術の進歩によって税理士の仕事が変化してきたことです。従来のような記帳決算代行だけでは満足しない、研究熱心な経営者が増えてきたのです。そして3つめは、忙しさで心のバランスを失い、病気をしたことです。治療と並行して、経営理論・マーケティングのほか心理学などの教えを受けました。思い込みやこだわりを解消するにつれ、自分の病気も回復しました。私は病気を治すことはできませんが、中小企業の経営者のみなさんの苦悩は共有できます。社長の苦悩を解消する支援が使命と考えるようになりました」(服部さん)
服部さんは第2創業の場として東京を選び、当社の所在地である銀座に活動拠点を置いてコンサルを始めました。また、当社の起業家交流会の場も利用し、ネットワークを拡大しています。
「世間的な常識の呪縛、老舗のしがらみなどに苦しんでいる中小企業の経営者は多くいます。そうした方々の苦悩を解き放ち、自分らしく生き生きと経営できる状態になるようにお手伝いしたいのです」と服部さんは言います。
服部さんは現在、中小企業の経営者を対象に、消費税対策などのセミナーを開催し、講師としても幅広く活躍しています。 (取材・構成 藤木俊明)