コロナ禍以降、都市部を離れて生活したいという声が増えている。本連載では、地方に移住しての働き方を紹介してきた。しかし地方で地域に貢献したくても、現在の仕事を辞めてまで踏み出せない人が多いのではないか。そこで注目されるのが、複業として地方で働くという選択肢だ。
複業マッチングプラットフォームを展開する株式会社Another WORKS(東京都渋谷区)は、奈良県三宅町と民間で活躍する複業人材登用によるまちづくり包括連携協定を締結し、10月19日より「DXアドバイザー」「人事・採用戦略アドバイザー」「広報戦略アドバイザー」の複業人材の募集を開始した。
三宅町では、町の予算が限られる中、優秀な複業人材を町内へ誘致することで、住民サービスの向上や現職員への教育などへの効果を期待する。約100人の応募者の中から、7人の複業人材の採用が決まり、12月8日にオンライン任命式が行われた。
三宅町の森田浩司町長は、今回の複業人材募集は来年3月までの実証実験という位置づけだが、効果検証を行った上で再募集も視野に入れていると意気込みを示した。また、Another WORKS代表取締役大林尚朝(なおとも)さんは、複業人材活用を新しい地方創生のロールモデルにしたいと語った。
任命式が終わり、大林さんに同社の複業マッチングプラットフォームで、ミドルシニア世代は活躍できるかと伺うと、コンサルティングや人事、広報、営業などキャリアを生かせる仕事では、実際に活躍しているミドルシニア人材は多いと話した。
地方で働くにも、別の仕事に従事するにも、まずは複業でリスク低く始めるのがよさそうだ。(取材・構成 藤木俊明)