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夕刊フジ・定年起業への挑戦

【定年起業への挑戦 実践編】定年退職し夫婦で事業「治療と仕事の両立支援」

 佐藤晋一さん(61)は日本年金機構を定年退職し、奥さまが立ち上げた事業「かがやき相談室」(株式会社輝きLAND)に合流した。佐藤さんは39歳の時に大腸がんを宣告され、以来7回ものがん宣告を受けながら、責任ある立場での仕事と治療を両立させてきた。そして、定年退職まで勤め上げることができた。奥さまは一緒に仕事をしたいと待ち望んでいたが、佐藤さんは自分に仕事の場を与え続けてくれた職場に恩義を感じ、雇用延長も考えたという。しかし、自分の経験を生かし、同じように悩む人たちの力になりたいと奥さまと合流し両立支援アドバイザー業の道を選んだ。


 「がんを宣告されて会社を退職する人が多いです。働き手が減少していく日本において、社会にとっても大きな損失でしょう」(佐藤さん)


 働き盛りでがんを宣告されても、当人も会社も仕事の両立について相談できる窓口が見つけにくい。国も手をこまぬいているわけではなく、厚労省所管労働者健康安全機構は「両立支援コーディネーター」という制度を設けている。佐藤さんもその資格を取得見込みだが、何より自らが苦しみながらがん治療と仕事の両立を実践してきた経験がある。長く健保組合の事務長を勤めてきた奥さまと二人三脚で、仕事と治療の両立に悩む人たちのワンストップ窓口になりたいと力強く話した。法人を中心に営業していく。


 「がんを宣告されると、治療のことはもちろん、お金、家族、仕事のことに不安を感じるものです。自らが体験したことだからよくわかるのです」


 佐藤さんは、恩返しという言葉を何度も口にした。奥さまとの定年起業への挑戦がスタートする。 (取材・構成 藤木俊明)

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