カーネル・サンダース氏はシニア起業の先達だった。
今年もクリスマスの時期が近づいてきた。活気づくチキン市場の代表格ケンタッキーフライドチキンの店には創業者カーネル・サンダース(本名ハーランド・デーヴィット・サンダース)氏の立像が立つ。サンダース氏は、無一文の苦境からシニア起業で身を立てた人だ。
書籍「カーネル・サンダースの教え」(中野明著)によると、若い時期に破産を経験し、セールスマンなどを経てレストラン事業を始め、現在のケンタッキーフライドチキンの主力商品でもある「オリジナルチキン」の調理法を編み出す。しかし情勢が変化し自らのレストランを手放すことになり、65歳にして一文無し状態になったという。
しかし、そこからがサンダース氏の真骨頂でフランチャイズ事業に全力を注ぐ。全米各地を車で回り、フランチャイジーを増やしていった。同書によると、サンダース氏はわずかな年金でガソリンを買い、節約のため車で眠ったという。その後の同社の成長はご存じの通りだ。
今も店頭で穏やかにたたずむサンダース氏は、実は行動力とチャレンジの人だったのだ。シニア起業でこれほどの成功を収めるのはまれかもしれないが、これから起業しようというシニアの胸には熱いものが届くのではないか。
サンダース氏は1980年に90歳でこの世を去るが、亡くなる直前に来日し、日本のケンタッキーフライドチキンは自分が伝えた調理方法と味と思いを忠実に受け継いでくれていてとてもうれしいと言う言葉を残したという。
「受け継いできた味を守ることはもちろん、カーネルの教えを胸に私たちにしかできないチャレンジをこれからも続けていきます」(日本KFC広報) (取材・構成 藤木俊明)