定年起業に挑戦しようという読者には耳の痛い話かもしれないが、事業を始めたらそれに関わる納税は義務だ。自分1人で小さく創業した場合も、もちろん例外ではない。
『税務署は見ている。』などの著書で知られる元国税調査官税理士・産業カウンセラー・健康経営アドバイザーの飯田真弓さん(56)は、現状国税当局は、無申告者の摘発に力を入れていると話す。ある日突然、税務署から税務調査の知らせが来て、あわてて税理士を探す事業者もいるとのことだ。
飯田さんは、ネットでは税に関する抜け道情報のようなものも流布しているが、おかしなものも見られると続ける。やはり創業当初から税理士の指導を受けた方がいい。しかし、どうやって顧問税理士を探せばいいのか。
「例えば、創業した地域の法人会などに加入して、税務の勉強会に参加し、税の知識を学びながら、信頼できそうな税理士を見つけるようにしたらどうでしょう」(飯田さん)
税理士とは長くパートナーシップを組むのだから、相性も大切。やはり直接会ってやり取りし、人柄に触れることも必要だ。
創業時には何かと物入りだ。税理士との顧問契約が負担に感じられるかもしれない。そんな場合、決算時だけ指導してもらうなどの顧問契約を結ぶ方法もある。ただし、注意すべき点がある。
「顧問契約を結ぶときは、税務調査時の立ち会い費用を決め、それを記載した契約書を残しておくべきです」
それがあいまいだと、税理士ともめることもあるという。正しく記帳し、申告していれば税務調査を恐れることはないと飯田さんは話す。適切に税理士の指導を受け、後顧の憂いなく売り上げを作ることに力を割きたい。(取材・構成 藤木俊明)