定年起業を目指す人の悩みの一つが開業資金の調達だろう。退職金には手をつけたくない。コロナで先行きが見通せない中、貯金にも手をつけづらい。
だがしかし、世の中の流れは「少額開業」に向かっているという調査データがある。
日本政策金融公庫総合研究所が発表した「2018年新規開業調査」によると、開業費用が250万円未満の新規開業企業(少額開業)は全体の16・7%を占める。さらに、同調査では250万円という金額は「外部から資金調達しなくても開業できる平均的な水準とみなせる」としている。
少額開業した事業者の開業時の年齢は50歳代が全体の15・6%、60歳以上は7・6%だ。
少額開業した事業者の顧客を見ると、一般消費者相手(BtoC)が55・7%、事業所相手(BtoB)が44・3%となっている。非少額開業の事業者ではBtoCが73・4%なので、少額開業者の方がBtoB比率が高いようだ。
従業員数を見ると、少額開業では「1人(経営者のみ)」が53・0%を占める。さらに業種を見ると、「サービス業」(29・3%)「小売業」(13・8%)と続く。
問題は開業後の経営状況だが、少額開業の事業者は、「売上が増加傾向」と応えた事業者が62・0%、また現在の採算状況についても「黒字基調」と答えた割合が64・8%に達している。スモールスタートした事業者はおおむね順調に事業を継続しているようだ。
黒字と答えた事業者の月平均利益額は38・2万円と決して高いものではない。しかし、スモールスタートを考える定年起業者にとっては悪くない収益に見えるがいかがだろうか? (取材・構成 藤木俊明)