1986年男女雇用機会均等法が施行されて約34年が経過した。その頃、新卒として入社した総合職の女性も定年退職を迎える時期となった。そんな彼女たちは、定年後も働き続けたいのだろうか?
株式会社電通の電通シニアプロジェクトは、定年がある企業において現在正規雇用で働く50代女性400人と既に定年を経験した60代女性200人を対象に「定年女子調査」を実施し、3月にその結果を発表した。
同調査によると「定年まで働く」つもりの「定年女子」は69・0%と多数派だ。さらにその中の67・4%が「定年後も働く」と回答している。その理由は「将来お金がないと不安」(55・9%)、「生計を維持するため」(52・7%)といった経済的なものが多い。
さらに同調査では、定年女子の退職金受取想定額は594万円としている。しかし、老後に必要な金額としては4345万円と答えている。こんなに差があれば定年後も働こうと考えるのも当然だ。しかし、退職金の使い道を聞くとほとんどが預貯金である。「退職金を起業資金に使う」とする人はほとんどいないように見える。
「定年後も働く」と回答した67・4%のうち、「定年後も働くことが決まっている」と答えた人は18・1%に過ぎない。本調査では、「決まっている」のはその会社での雇用延長なのか、それとも再就職や起業など具体的な方針が決まっていることなのかはわからないが、自分の中で働き方のイメージができている人だと推測する。
残りの49・3%の人は「決まってはいないが定年後も働きたい人」であり、方針は確定していないようだ。
そんな定年女子たちに、退職金には手をつけず、公的融資や助成金で起業資金を調達する方法などを啓蒙(けいもう)すれば、起業を検討する人も増えてくるのかもしれない。 (取材・構成 藤木俊明)