定年後も働き続けたいという方に向け、本欄では定年起業の方法や経験者のお話などを紹介しているが、起業も含めて、これまでの会社生活と違う環境になじむことが必要とされる。とくに、大企業に長年勤めてきた人は、起業した場合は自らが個人事業主などの小規模事業者になる。また再就職の場合、中小企業勤務になる場合が多いであろう。そんな新しい環境になじむための公的なサポートプログラムがある。
東京都が運営する東京しごとセンター(東京・千代田区)の「シニア中小企業サポート人材プログラム(中サポ)」がそれだ。対象は55歳以上の大手・中堅の民間企業などで、管理職として5年以上の経験がある人で、中小企業で働く上での心構えや経営戦略などを13日間のプログラムで身につける。受講料は無料だが、テキスト代の実費4510円が必要。また応募に対しての審査がある。
夕刊フジ定年起業応援サロン参加者で、過去この中サポを受講した海老名要一さん(66)に聞くと、同プログラムでコミュニティー・ビジネスを知り、地元多摩でのプロボノ活動に参加したことが、新しい事業を考えるきっかけになったという。また、中サポに参加する仲間同士での交流も励みになったと話す。
「大学卒業時の就活と違ってシニア就活は孤独なものです。同じ目的を持った仲間と情報交換できるのは心強かったです」(海老名さん)
プログラム内容も濃いと海老名さんは話す。受講していた当時、仲間だった元人事畑の人が「この内容なら単独で受けた場合30万円取られてもおかしくない」と感心したらしい。
今年も5月13日からスタートを予定し、4月9日が応募締め切りとなっている。定年後の選択肢を多く持っていたい人は、東京しごとセンターに問い合わせてみてはどうか。(取材・構成 藤木俊明)