定年退職後の独立・起業に備え、資格取得や語学などの勉強にいそしむ読者も多いだろう。高齢者の就労支援を行う株式会社マイスター60(東京都港区)は、定年退職後に再雇用制度を使って働いている60歳~65歳の全国男性500人を対象に定年後の学びや自己研鑽(けんさん)についてアンケートを行い、1月に調査結果を発表した。
それによると、「定年退職前にしておけばよかったことは?」(複数回答)の答えの1位は「資産運用」(38・4%)で、2位が「健康/体力維持改善」(31・0%)、3位が「趣味づくり」(23・6%)となっている。
そして4位からは「資格の取得」(23・0%)、5位「外国語の勉強」(18・6%)と続く。7位にも「専門知識の取得」(15・0%)という回答が上がる。1位の「資産運用」にもそれなりの勉強が必要だろうから、これらを総合すると「定年前にもっと自己研鑽を積んでおけばよかった。とくに資産運用についてのスキルや資格、語学などの勉強をしておくべきだった」と感じる人が多くいると読めるのではないか。そう読めば、冒頭に述べたように定年退職に向け資格取得や語学の勉強を懸命に行っている人の姿勢は納得できるものだ。
しかし定年起業に挑戦している方からは、「資格だけでは食べていけない」という声をよく聞く。
社労士の資格をとって独立した方が、何カ月も顧客を獲得できず独立を後悔したくらいだったが、めげずに飛び込み営業を続け、ようやくある工場が最初の顧客になってくれたときは、たとえようもなくうれしかったと語ってくれたことがある。
資格の勉強をしても、その中で顧客の獲得方法を教えてくれるわけではない。もちろん自己研鑽は大事だが、もし独立・起業を考えるなら、起業セミナーなどで顧客獲得の手法を学ぶことも検討すべきだろう。(取材・構成 藤木俊明)