雇用延長の実態は茨の道?
今年度定年を迎えるにあたり、その後、どう働くかを検討している読者も多いだろう。60歳で定年退職、65歳までは雇用延長というパターンの企業が多い。ところが企業によって雇用延長の待遇はまちまちだ。
夕刊フジ定年起業応援サロンの参加者からは、時短で働き、自由に活動しようと思っていたら、会社からは現役時と変わらぬ出社時間と業務責任を求められる上、給与だけは半分程度に減ると告げられ、唖然として断ったという声もあった。
高齢者の就労支援を行う株式会社マイスター60は、定年退職後に再雇用制度を使って働いている60~65歳の全国男性500人を対象にアンケートを行い、昨年12月に給与面、待遇面についての調査結果を発表した。
それによると、現在の雇用体系は「嘱託もしくは契約社員」が64・2%と圧倒的に多く、「正社員」は32・2%に過ぎないという。
さらに雇用契約期間については「1年間以内」が48・6%で半数近く。「1年間を超える」が38・6%、「期限の定めはない」が12・8%ということだ。
一番の問題である収入だが、定年後の賃金の変化について聞いたところ「(定年時の)5割以上減った」が39・8%とトップ。「3~4割減った」が39・6%と続く。
前述の「給与が半分に減る」はあり得ぬ話ではないことがわかった。現役時代と変わらぬ環境や業務内容で働ける再雇用制度。しかし、意地悪な言い方をすれば、「給与は3割から5割も減らされて1年ごとの契約社員扱いになる上、勤務時間や仕事の責任は同じ」という待遇の可能性も低くはない。
もちろん雇用延長の条件が恵まれたものであればいいが、定年後の働き方については、他社への転職、定年起業なども視野に入れて情報を集めておきたい。(取材・構成 藤木俊明)