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夕刊フジ・定年起業への挑戦

【定年起業への挑戦 実践編】熟練した技術者が少なくなりつつある…

 定年後の多様な働き方について、いろいろな事例を取材し、多方面からご意見もいただいてきたが、「再就職」という道はどうなのか? 企業の再就職支援を多数手がけてきた人事コンサルタント天笠淳さん(53)に、定年に備えての再就職のポイントを聞いた。


 天笠さんは2019年11月に「転職エバンジェリストの技術系成功メソッド」を出版した転職事情に詳しいプロだ。天笠さんの答えでは、再就職はかなり厳しい。むしろ社内転職を検討してはということだ。


 その背景として、どの企業でも熟練した技術を持つ社員が少なくなりつつあることがある。とくに製造業だ。AIの導入なども進むが、製造現場での経験を生かした対応、製品の保守・管理などは熟練者の経験と手に頼らざるを得ない。とくに、海外進出した企業ではその悩みが深いという。たとえば東南アジアでは、現地の日本企業は日本人の技術者に来てほしい。もちろん年齢は障害にならない。そこで製造現場に復帰するのだ。


 「そもそも再就職の情報が少ない上、見つかったとしても、まったく違う環境で仕事をするより、なじんだ現場で働く方が適応しやすいでしょう」(天笠さん)


 その代わり、住まいへのこだわりを捨てなくてはならない。天笠さんは、日本人は住んでいる土地を離れたくない傾向が強い。そのこだわりを捨てることで選択肢は広がるという。


また、社内転職を実現するには社内営業も大事で、年下上司へのアプローチも必要になることもある。


 「年下のビジネスパーソンと良好な関係を持つことが必須でしょう」


 若い世代に過去の昔話や手柄話をすると嫌がられるといわれるが、「むしろ業務に基づいた昔話や経験談は有効です。ただし、あくまでも業務に絡めてください」と天笠さんはポイントを教えてくれた。(取材・構成 藤木俊明)

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