昨年定年を迎え、起業準備中の62歳・西田俊徳さん(仮名)は、本記事でも紹介した新現役交流会にもチャレンジすることに決めたという。関東経済産業局のマネジメントメンター制度に登録申請した感想を聞くと、「申請するとき、数十年に及ぶ個人の仕事履歴を簡潔にまとめるのは意外と大変かもしれません」と苦笑する。
西田さん自身は退職後に備えて職務経歴書を作っておりそれが役立ったと言う。
登録後まもなく西田さんにも新現役交流会の案内が来て、参加企業の課題を読み、人事労務関連を課題とする企業との面談希望を申請した。西田さんは会社在籍時には人事業務の部署にいて実務経験があり、課題解決の提案が可能かもと考えたそうだ。
その結果、2社からの面談希望があり、新現役交流会で両社と面談したと話す。結果として最終面談には至らなかったが、いろいろ気づきがあったと振り返る。
「事前に送られてきた課題を読んでいったのですが、実際の面談において経営者から語られる職場の問題には書面で表現されていない要素が満載でしたね。ただ、書面に書きづらい課題があるのはわかります」
新現役交流会という仕組みには、会社で身に付けたノウハウを生かせボランティアに近いけれど一定の報酬があることはとても良いと評価する。
また、就職活動ではなくて対等なマッチングの場であり、謙虚に話を聞きつつ自己のオリジナリティーを表現するのは難しいと笑う。
「気をつけなくてはいけないのは大手企業勤務経験者にありがちな、自分自身がマジョリティーで一般常識人だと思い込む身勝手さだと思います。そこは自覚しておかないと。また、相手経営者に対するリスペクトを持つことも大事ですね」
勉強になるので、起業準備と並行して今後も参加したいと前向きに語る。(取材・構成 藤木俊明)