定年後は手に技術を持って個人事業を営みたいという方もいるだろう。たとえば、ハウスクリーニングや家事代行のフランチャイズチェーン加入を勧める広告をよく目にする。加盟金と本部に月々のロイヤルティーを支払う代わりに、一定の売り上げを保証するという触れ込みのものが多い。
ハウスクリーニングの個人事業主の独立支援を行うNPO法人日本ハウスクリーニング協会(2001年設立)の金子晴雄理事長に実情を聞いた。金子さんによると、悪質なフランチャイズチェーンに加入してしまい、借金を背負って同協会へ相談に来る人が少なくないとのことだ。
同協会はフランチャイズチェーンではないので加盟金やロイヤルティーは不要。希望者は同協会が運営するJHAビジネススクールで3日間の基本研修(5級認定・受講費用15万円)、本格的に起業したい人はさらに4日間の研修(3級認定・受講費用32万円・スマホ対応HP作成込み)を受けハウスクリーニング士の認定証を受ける。仕事道具は20万円もあればそろうという。
ほんとうに加盟金とロイヤルティーは不要なのか?
「うちは加盟金やロイヤルティーをとらないので逆に怪しまれることもあります。あくまでハウスクリーニングの個人事業主を育て支援するNPOです」(金子さん)
金子さんは、ハウスクリーニングを開業し成功するためには、技術はもちろんだが、人の家に上がる仕事なので挨拶やマナーが大切だという。同協会には先輩の事例を学んだり相談し合えるコミュニティーがある。
「すぐに独立開業を考えていなくても構いません。この業界に興味があり、実情を知りたい人はいつでも相談してください」
悪質なフランチャイズチェーンの情報はネットでもある程度探せる。まずは自分の目で実情を調べたい。(取材・構成 藤木俊明)