在職中は、パソコンやスマートフォンそしてネット環境やプリンターなどを会社が準備してくれる。当たり前のように使えていたこの環境だが、定年を迎えるとなくなる。さらに仕事を続けたいという場合には、それらの情報ツールを自前でそろえなくてはならないことに気づくだろう。
とはいえパソコンなどはすでに自宅で使っている場合も多いはず。では、「何か仕事をはじめよう」というときに、どんな情報ツールが必要なのか?
夕刊フジ定年起業応援サロンに集まっていただいた起業家の方、これから起業を検討する方などの参加者に、「定年後、情報収集や仕事にどんなツールを活用しているのか?」と尋ねてみた。
すると、「在職中は会社でも家でもデスクトップパソコンだったが、現在ほとんどスマホで事足りる」という声に代表されるように、スマホを活用している人が多いようだ。
今回参加の上水樽さんは早期退職後、宝飾品販売で起業したが、メインのツールはスマホ。アイフォーン1台で仕事をこなし、とくに標準アプリの「メモ」を活用していると言う。また、Square(スクエア)というモバイル用の決済ツールを使い、訪問した客先でクレジットカード決済が行えるとのことだ。スクエアはスマホに差して使う小さなアダプターで電源も要らない。外商の仕事には便利なツールだと言う。定年後でもスマホ1台あれば、情報収集から業務までかなりのことができるのか? サロン参加者は、やはりしっかりした書類作成などにはパソコンが必要と口をそろえる。ただし、「なるべく中古パソコンに買い替える」「印刷出力の時はコンビニを利用する」など、工夫して投資コストはおさえているらしい。とにかく、定年後に仕事をするのにも、高価で大がかりな設備や投資が不要なのは間違いなさそうだ。(取材・構成 藤木俊明)