1月17日、日本政策金融公庫は「起業と起業意識に関する調査」を発表した。起業の相談窓口を持つ公庫の調査であり、起業家や起業志望者の実態を反映したものだ。
興味深いのが「仕事のやりがいに関する満足度」だ。同調査では「起業家」「起業関心層」「起業無関心層」に属性を分けているが、「満足」と答えたのは、現在勤務中の「起業関心層」(35・1%)、「起業無関心層」(34・6%)であるのに比べ、「起業家」は68・5%と、ほぼダブルスコアで満足度が高い。
休みや家族との時間を犠牲にしているのではと「私生活(休暇や家族との過ごし方)に関する満足度」を見るが、「満足」と答えたのは「起業関心層」(46・5%)「起業無関心層」(46・3%)であるのにに比べ、「起業家」は61・0%とやはり高い。
「総合的な満足度」を見ても、「満足」が「起業関心層」(38・6%)、「起業無関心層」(42・1%)と比べて、「起業家」(58・6%)の方が高い。
起業家の事業形態は、スモールビジネスが多いようだ。同調査によると、起業家の組織形態は「個人企業」が84・5%であり、従業員数は1人(本人のみ)が65・6%。
起業費用を見ると「100万円未満」(36・3%)、「費用はかからなかった」(21・9%)と過半数が100万円未満で起業しており、さらに借り入れをしなかった人が約8割にのぼるようだ。小さく、融資も受けず、ローリスクに起業している様子がわかる。
シニア起業を支援する銀座セカンドライフの片桐美央代表は、常々「ゆる起業」というキーワードで、リスクの低い起業を起業志望者に勧めている。
本調査はシニア世代に限定したものではないが、無理のない起業スタイルが広まっていることを示しているといえよう。(取材・構成 藤木俊明)