定年後の働き方を考える夕刊フジ定年起業応援サロンは、4月24日に第2回読者座談会を開催。実際にシニア起業を果たした人の話を聞きたいという読者の要望を受け、55歳で大手メーカーを早期退職し、2015年に「合同会社オフィスTARU」を設立した上水樽文明(うえみずたる・ふみあき)さん(58)をゲストに迎えた。
「メーカー勤務時の経験やネットワークを生かし、ジュエリーの外商が事業の中心です。イベントや催事の企画を絡めて、顧客といい関係を保つことに留意しています」と上水樽さんは自己紹介。早期退職したメーカーとも良好な関係を維持し、昨年、取引口座を得たという。
起業のきっかけについては、「自分は70、いや75歳までも元気で働きたいのです。まだ元気があるうちに再出発をしたいと考えました」。参加者からの「家族は反対しなかったのですか?」との質問には、「ギリギリまで相談せず自分で決めました」と言う。
ただ、「不安はなかったですか?」との問いには、「やはり、なかなか踏み切れませんでした。大企業の傘の下にいるからこそ自分は信用してもらえているのではないか、と思いました」と素直に答えてくれた。
上水樽さんの場合、仕事が外商中心だったことが幸いした。会社の看板を背負ってはいるものの、顧客を訪問してビジネスを行う時は1対1だ。「独立しても、勤務先に迷惑を掛けない方法であれば、お客さまはある程度ついてきてくれるなと確信でき、早期退職に踏み切りました」
退職後1年間は準備にかけた。外商という仕事柄、いくつもの拠点が利用でき、“銀座本社”というブランドも得られるアントレサロンをオフィスに選んだそうだ。 (取材・構成 藤木俊明)