かながわシニア起業家ビジネスグランプリ2018」の入賞から1カ月あまり、本紙読者の海老名要一さん(64)の起業準備は進んでいるのか。東京・東銀座の「夕刊フジ定年起業応援サロン」で話を聞いた。
「現在はホームページ(HP)の作成準備をしています。今の時代、ホームページは自分の店を出すのと同じですからね。まず事業用のHPを立ち上げないと何も始まらないでしょう」(海老名さん)
海老名さんが初めてHPを作ったのは会社員時代の1997年だという。それ以来、ブログやSNSなどを適宜利用してきたが、HPを作るのは久しぶりだそうだ。
その制作を外注すると費用がかかる。だが、ここが定年起業のいいところで、定年者ならじっくりと学び直して自作する時間がつくれる。海老名さんは地元のセミナーを受講したり、300ページほどの入門書で自習したそうだが、「最新の技術的なトレンドなどを学べてよかった」と言う。
「自作するのは大変ですが、いいこともあります。それは、自分の考えたサービスを使ってもらう顧客の目線になって考える機会ができることです。私の顧客はNPOに携わるスタッフの皆さんです。実務のかたわら、私の会社のHPでセミナーを受けてもらうことになりますが、それにはスマートフォンやタブレットでも見やすいHPにしなくてはなりません。とくに、スマホ対応は不可欠です。また、通信状態がよくない場所で利用してもらうことも考慮しなくてはなりません」
HPの見た目にこだわって大きいサイズの写真や大容量のデータを載せると、表示に時間がかかってしまう。なるべく「軽い」HPにしたいと海老名さんは語る。
ただし、HPを作っただけでは誰も見に来ない。情報発信が必要だ。HPでは利用メリットと全体の使い方を説明し、動画を含めた情報発信はブログとSNSを活用するつもりだという。
「口でいうのは簡単ですが、自分の手と頭を使ってHPのことを考えるのは大変。改めて『事業を始めるんだなあ』と実感できますね」
お金をかけて外注するよりも、自分の勉強もかねてHP作成に挑戦するのもいいことかもしれない(取材・構成 藤木俊明)