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夕刊フジ・定年起業への挑戦

【定年起業への挑戦 実践編】リスクの大きい投資よりも「身の丈に合った事業計画を立てる」

 かながわシニア起業家ビジネスグランプリ2018」に入賞した読者、海老名要一さん(64)の事業計画をさらに詳しく聞く。海老名さんの起業プラン「NPO向けICTを活用した広報セミナーの開催」は、NPOの実務担当者の広報スキルを短期間で向上させるためのセミナーを実施するものだが、収支計画はどうなっているのだろうか?

 「私の事業は無償のウェブセミナーと有償の対面セミナーで成り立っていまして、対面セミナーの料金は1回1万円を予定しています。1年目は参加者5人の対面セミナーを年に3回行うとして年間15万円の売り上げで、年間8万円ほどの赤字をみています」(海老名さん)

 商標登録費用やパソコン代などの費用を計上すると1年目は赤字スタートになる。しかし、スモールスタートなので、大きな赤字にはならない。「事業年度2年目には年間売り上げを30万円に伸ばして収益はとんとん。3年目には年間売り上げを40万円に伸ばし、年間10万円の営業利益が出るようになると考えています」

 3年目までに事業の仕組みを作り上げ、フランチャイズで展開したいと海老名さんは言う。その分が利益となり、4年目以降の定期収入と見込んでいる。

 「自分はまもなく年金受給者になります。そうすると、大きな売り上げや収益を狙ってリスクを負うよりも、自分のペースで月に数万円ずつ定期収入が入ってくるモデルが現実的なのです。当面の目標は月5万円の定期収入ですね」

 つまり、ローリスク・ローリターンで事業を進めるということだ。海老名さんのビジネスモデルでは、資材はほとんど持たない。仕入れもないので在庫もない。サービスの提供はビデオ会議などを活用して低コストで行う。徹底的にローコストである。

 定年起業にチャレンジする時は、無理な目標を立てて消耗したり、リスクの大きい投資を行ったりするよりも、身の丈に合ったプランを立てることが重要だといえよう。

 「自分のビジネスプランは自己資金30万円でまかなうつもりです。借り入れなども考えません。万一、自分が考えていることがすべてダメで資金を失っても、海外旅行に1回行ってきたと思えばいいんじゃないでしょうか」(取材・構成 藤木俊明)

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