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夕刊フジ・定年起業への挑戦

【定年起業への挑戦 実践編】NPO支援の経験生かした起業プラン 

 前回に続き、「かながわシニア起業家ビジネスグランプリ2018」に入賞した海老名要一さん(64)に話を聞く。海老名さんの起業プラン「NPO向けICTを活用した広報セミナーの開催」は、定年後の就活ITスキルに悩む同世代の仲間を見て感じたことに源流があると前回聞いた。しかし、ターゲットがぼやけていて起業プランにまでは至らなかったという。今回、NPO(民間非営利組織)を対象に絞ったのはどうしてなのか?

 「まず背景をお話しします。NPO団体は日本に約5万あり、福祉や教育、環境、まちづくり、国際協力などさまざまな社会課題の解決に向けて活動を行っています。しかし、有給の常勤職員がゼロの団体も少なくありません」(海老名さん)

 NPOを中間支援する一つの形式をプロボノという。海老名さんは3年前からプロボノの団体に所属して直接NPOを支援し、その活動の現実を見てきた。

 「多くの人にその活動を知ってもらうためにはNPOの広報活動が不可欠です。ただ、私が見たところ、ホームページの更新、フェイスブックなどのSNSの活用、印刷物による広報がうまくできていないNPOが多いようです。そこで今回の発想が生まれました」

 海老名さんは、以前浮かんで寝かせておいたアイデアを、NPOをターゲットにした事業に切り替えてブラッシュアップしたということだ。「NPOの皆さんを対象に、ネットを活用して安価で効果的なセミナーを提供するプランにしました」

 従来型のセミナーでは、会場に人を集めて、講師から生徒に向けて一方通行で教えていたものが多い。海老名さんのセミナーは「無料のWeb学習コース」と「有料のWeb会議コース」の2コースで構成される。

 前者は、ホームページ上に説明文とビデオの学習コンテンツを置いておき、自分のペースで何度も学習できて理解を深められるもの。後者は、どうしてもわからない人に向けてビデオ会議システムを使い、1対1の有料セミナーを行うもので、「できますか?」「がんばりましょう」とやさしく丁寧に指導するという。

 次回は、海老名さんが立てた具体的な事業計画とその数字を紹介する。(取材・構成 藤木俊明)

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