起業時に必要なものの筆頭が「起業資金」だが、その調達方法はいろいろある。創業融資が代表的だが、近年注目されているのは「クラウドファンディング」という手法だ。
「こんなものやサービスをつくりたい、こんな方法で世の中の課題を解決したい、などの思いを持つ人が、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を募るという資金調達の方法です」(銀座セカンドライフ、片桐実央代表)
たとえば東京都は、創業希望者や中小企業者のクラウドファンディングを活用した資金調達を支援している。東京都選定の「取扱クラウドファンディング事業者」を通じてクラウドファンディングを行うなど、所定の手続きを経ることで、手数料の原則2分の1(上限額30万円)が補助される。
銀座セカンドライフも、入門者向け窓口やクラウドファンディングについての啓蒙セミナー開催などの業務を都から受託している。11月28日には東京・丸の内のTOKYO創業ステーションで、銀座セカンドライフと東京都選定の取扱クラウドファンディング事業者のひとつ、レディフォー社によるクラウドファンディングのセミナーが開催された。定年起業に挑戦中の読者、海老名要一さん(64)も聴講したという。
「資金調達の新しい方法だと思っていましたが、それだけでなく、事業や商品のプロモーションやテストマーケティングにも活用できるということがわかりました。リスクは少ないようだと感じましたが、実施には資金提供者の共感を呼ぶ内容を盛り込む必要があること、そのためにはウェブサイトに載せるコンテンツが大切なんだと感じました。コンテンツに載せる写真や動画などの準備には協力者が必要ですね」(海老名さん)
起業を決意してから、さまざまなセミナーに参加してきた海老名さんだが、ここにきて特に重要だと認識したキーワードがあるという。
「事業計画書やウェブサイトのコンテンツを作成する時には『共感』というワードが重要だと感じています。協力してくれる仲間や友人を、いかに増やせるかですよね」
海老名さんの起業活動は続く。(取材・構成 藤木俊明)