定年起業に挑戦している海老名要一さん(64)は10月14日、神奈川県生涯現役促進協議会主催の「初心者のためのセカンドライフ起業スクール」に参加した。場所は川崎商工会議所KCCIホールで、講師は銀座セカンドライフ株式会社が務めた。海老名さんは2回目の参加で、雰囲気にも慣れたようだ。
今回のテーマは「自社のブランディング向上と組織形態の選択法」。ニュースリリースの活用法や商標の取得について具体的な説明があった。
「素人が『ゆる起業』を実践するのに、そこまで必要なのかなという印象でした。しかし、自らの資金を投入するわけですから、しっかり準備しておかないと悲惨なことになると思い直しました」(海老名さん)
ニュースリリースは、自社の事業や新商品・サービスなどについてメディアに働きかける重要なビジネスツールだ。マスコミに記事として取り上げられると、大きな効果が生まれる。広告と違って費用はかからず、視聴者や読者に自社の情報を知ってもらうことができる。
銀座セカンドライフもニュースリリースのネット配信サービスなどを積極的に活用している。片桐実央代表は「弊社のニュースリリースがすぐ新聞に取り上げられたこともあります。起業する人は有効に使うべきですね」と言う。
今回のスクールでは海老名さんにも大きな発見があったようだ。「今までいろいろなセミナーに参加しましたが、延々と自社の宣伝をしたり、トンチンカンな質問をする人がいて参ったものです。しかし、この起業スクールは違いました。勘違い受講者は一人もいません。現実を見据えた講師の説明が伝わるのでしょうか、真剣そのもの質疑応答でした」
ちなみに、会場は毎回満員で、女性も多く参加している。参加者はカジュアルな服装だが、海老名さんが言うように張り詰めた空気が流れていて、真剣度が漂っていた。やはり、「失敗は許されない」という思いが強いのかもしれない。
同起業スクールは、次回の「資金調達の方法」が最終回。その後、受講生の交流会が開催される。ビジネスプランの提出も求められる。海老名さんは「これから準備しなくてはいけないし、交流会の服装も考えておかなくては」と楽しそうに語った。(取材・構成 藤木俊明)