定年前後で起業する場合、経営コンサルタントや講演活動をしたい、自分の経験を広めるために本を出版したい、という方が多いです。この場合、在職中に起業に備え、自分の商品価値を高める努力をしている方は起業が非常にスムーズです。知識を増やすため、セミナー参加や読書で、最新の幅広い情報を得るといいでしょう。
また、資格取得も有効です。50、60代の方は経験が武器になるため、資格は必ずしも必要というわけではありませんが、シニア起業の分野で人気の資格を紹介します。
■社会保険労務士…従業員の採用から退職までの書類の作成や指導、人事全般に対するアドバイス。
■行政書士…契約書や遺言、会社の定款など役所に提出する書類の作成や作成の代行。
■中小企業診断士…企業の経営状態の調査や分析、それに基づくコンサルティング。
■ファイナンシャルプランナー…家計や資産に応じた貯蓄などのプラン立案や相談。
■カウンセラー…人の悩みや抱えている問題に対して相談を受ける。
■コーチング…目標に向かい、対象者を勇気づけ、やる気を引き出し、自発的な行動を促すコミュニケーションスキル。
また、フラワーアレンジメント、カラーセラピー、ヨガなど最初は趣味として学んでいたことを誰かに教えたいと思うようになり、「教わる側」から「教える側」になったという方も多いです。語学力を生かして語学検定を取得し、教室を開く方もいます。英語、中国語、韓国語、フランス語などレッスンごとや月謝制で料金設定しています。
資格を取得した後でも、資格だけで仕事が来る時代ではないので、経験を積んで実績をつくりましょう。最初は料金設定を低めにすることも戦略です。しかし、その際は専門家としての価値を下げないよう、料金を低めにする理由をお客さまに説明しましょう。「『利用者の声』として、サービス提供後のアンケート内容を顔写真付きでホームページに掲載したいから通常の半額で行う」などです。
一方、資格を取得しなくても知識を活用して教室を開く方もいます。最近では、歴史学校やワイン、ダイエット、パソコン、料理、ゴルフ、ジョギングの教室などがありました。受講する方々の多くはプロを目指すわけではなく、仲間づくりも兼ねて楽しみながら習いたいというニーズです。それに応える形で、講師も楽しみながら教え、受講料も低めに設定している方が多いです。
最後に、打ち合わせ場所や教室の開催場所についてお話しします。教室を開いたら1対1でも一斉形式でもサービスを提供する場所の確保が大切です。相手先に出向く場合は気にしなくていいですが、来ていただく場合には、(1)立地や利便性(お客さまが通いやすいか)(2)会場代(1時間当たりいくらで、キャンセル時の料金はどうなるか)(3)室内の雰囲気(提供するサービスとイメージが合致するか)などを考慮し、場所を決定しましょう。