結婚式の動画撮影サービスを提供する映像制作会社を経営している男性(58)がいます。挙式を手がけるホテルと商談が進み、契約内容を明確にするため契約書の作成を求められました。しかし、これまで相手方の契約書を使ってしか契約を結んだことがなかったので、困惑してしまったそうです。今回は、なぜ契約書が必要なのか、そして作成方法についてお伝えします。
契約は「申し込み」と「承諾」の意思表示の合致により成立するため、互いの口約束でも契約は成立します。しかし、実際のビジネスでは、記録が残るよう書面化した方が安心です。商談をスムーズに進めるためにも、自社で独自に定型の契約書を用意しておくといいでしょう。
契約書は作成した側に有利な内容になっている可能性が高いです。定型の契約書を受け取った場合は、毎回しっかり内容を確認したうえで修正を求め、不利にならないようにする必要があります。
定型の契約書は一から作成する方法もありますが、インターネット上でひな型を入手することも可能です。ただその場合は、もちろん自社の条件に合わせて内容を変更する必要があることはいうまでもありません。
契約書を作成するうえでの注意点をいくつか紹介しましょう。
(1)収入印紙-全ての契約書に必要なわけではありませんが、不動産取引など印紙税法で定められた「課税文書」に該当する場合は収入印紙が必要となります。該当するかどうかは、国税庁のホームページで確認できます。
(2)契約書の部数-契約する当事者の数だけ用意するのが一般的ですが、印紙代節約のため、1部だけ原本を作成し他はコピーとする方法もあります。法的には問題ありませんが、契約をめぐる訴訟になった場合などに不利となることもあるので、コピーは避けた方が安心です。
(3)押印-契約書が複数枚になる場合は、偽造防止のため、契約書をホチキスなどで留めて冊子にし、全てのページの見開き部分に両ページにまたがるように押印するよう心がけてください。
男性は、さっそく自社の定型の契約書を作り交渉したところ、商談の要点が明確化され条件面を話し合いやすくなりました。他の商談にも活用し、これまでよりスムーズに仕事がまとまるようになったと喜んでいます。