薬膳の知識を生かして料理教室を開きたい女性(61)がいます。自宅で開講するのは難しいので、近くに教室用の調理室を借りたうえで、年内のオープンを考えています。今回は起業時の不動産物件の探し方やポイントについてお話しします。
賃貸物件は基本的にその物件のオーナーと賃貸借契約書を締結して借りることになりますが、物件探しは不動産仲介業者を活用するのがよいでしょう。成約した場合におおよそ賃料1カ月分の仲介手数料がかかりますが、幅広い情報を持っている業者に任せた方が、自身で探すよりも効率的です。仲介業者は1社に限る必要はありません。規模の大きな業者や、地域の事情に詳しくフットワークの軽い業者など数社を選んで依頼してみましょう。
依頼する際は、自社の希望の条件を伝えます。例えば、駅からの距離や駐車場の有無、広さ、築年数、トイレやエアコン、女性の場合でいえば調理設備も必要ですね。賃料の目安があれば、それも伝えましょう。
条件に合う物件を紹介されたら、その中からいくつか選んで、実際に足を運んで内見します。「これだ!」というところが見つかったら、早めに申し込みをしましょう。その後、申し込み内容を基に、オーナーと細かな条件の交渉に入ります。起業したてのときは、まだ会社としての信用が低いので、オーナーの審査を通過するためにも、この物件で自社が何をするのかが分かる事業計画書を提出するのもお勧めです。条件の折り合いがついたら、賃貸借契約書の条文を決め、正式に契約を結びます。
また、敷金や内装工事などの費用を金融機関から借りる予定の方は、物件を1つに絞り、「ここを借りる」と決めたタイミングで融資申請を始められます。つまり、正式に賃貸借契約を締結した後ではなく、借りる物件を金融機関に伝えられるようになった時点で申請可能になります。
女性は条件に合う物件を見つけるまで、10件近く内見を重ねました。時間はかかりましたが、その地域をたくさん歩いて、街の雰囲気や様子を詳しく知ることができ、自信を持って料理教室をオープンすることができました。