飲食店を開きたい女性(46)がいました。ただ、飲食業の経験はなく、店舗の家賃や設備をそろえる資金などが不安です。こうした際には、他者の事業を引き継ぐというのも選択肢の一つ。飲食店でもオーナーが高齢になり、後継者が見つからないというお店は増えてきています。今回は事業の引き継ぎ(承継)についてお話しします。
女性のケースで飲食店のオーナーからみれば、他者に事業を引き継ぐ方法は、親族や従業員に継承してもらうのが一つ。これ以外には、他の企業に譲渡する、または女性のような個人に承継してもらうという方法があります。
いずれにしても後継者は、現経営者から、さまざまな財産(人、物、資金、知的財産など)を上手に引き継ぐことが重要です。特に目に見えない知的財産、飲食店でいえば独自のレシピやメニュー、顧客との関係、築き上げた店のブランド価値は、起業者にとってとても貴重な競争力の源泉になります。
事業を引き継いで起業したい方は、公的機関である「事業引継ぎ支援センター」に相談してみましょう。各都道府県に設置されており、所在地は中小企業基盤整備機構のホームページ内にある事業承継ポータルサイト(shoukei.smrj.go.jp/address.html)で確認できます。
女性のような起業家と、後継者のいない小規模事業者をマッチングする「後継者人材バンク」の設置も各地で進んでおり、ここでは専門の相談員が譲る側、譲られる側の双方と面談を行い、さらに当事者同士の面談をへて、実際の事業承継までをフォローしてくれます。
ただ、親族や従業員ではなく、第三者が引き継ぐわけですから、譲渡価格やこれからの事業展開、社名をどうするか、従業員の待遇を維持できるかなど、多岐にわたる条件において、両者が納得する妥協点を話し合いで見つけていかなければならず、相応の時間がかかることは覚悟しておいた方がよいでしょう。
女性は事業引継ぎ支援センターに相談に行きました。事業を始めたい時期や、事業者に提示できる条件などを、ある程度明確にして臨んだので、より具体的に相談することができたとのことです。《銀座セカンドライフ(ginzasecondlife.co.jp)