谷貝(やがい)忠さん(65)は創業95年の合資会社、谷貝鐵工所3代目社長ですが、新たに別事業を創業し海外で活路を開きました。いい事例だと思いますので紹介しましょう。
家業の谷貝鐵工所に入社したときは鉄工所としての業務がメーンだったのですが、景気停滞やオイルショックの影響で経営は冷えこんでいました。平成に入り、谷貝さんは社長に就任して新たな事業を模索し、サインプレート制作の事業をメーンとした、つきしま工房を創業しました。偶然、ある蓄光剤メーカーとの出合いにより画期的なサインプレートの開発に成功したのです。
「これは彫刻溝と蓄光材を組み合わせた独自の技術で、電気を使わずに長時間にわたり文字や絵柄を明るく映し出すことのできるサインプレートなのです」(谷貝さん)
この製品を展示会に出展したところ、期待通り大きな注目を集め、とくに谷貝さんを驚かせたのはインドやアブダビなどの地でたくさんの引き合いを受けたことです。
「日本にいたときにはわからなかった海外市場のパワーを感じました。もし日本でダメでも海外にチャンスがあるのではないでしょうか」 (取材・構成:藤木俊明)