沼田洋一さん(58)は、ずっと電力関連の仕事に従事し、退職したあと、家業の手伝いを経て、電力の自由化をビジネスチャンスと感じ取り、起業に踏み切ることにしました。
2014年9月、自身が代表取締役として電力の小売り会社を立ち上げます。それが、新電力サービス株式会社(http://www.shindenryoku-sv.jp/)です。
ご存じの人も多いでしょうが、現在、一定の電力を消費する企業、工場、学校などは、現在契約している電力会社と別の電気事業者(卸)と契約を結ぶことができ、電力料金を見直すことができるのです。
「そういう情報は耳にしても、どうやって別の電気事業者との契約を検討したらいいのか、意外とわからないですよね。私の事業は、そういった卸の電気事業者の代理店として、希望する企業や学校などの電力料金の見直しを行うことです」
そういった営業活動はどのようにやっているのでしょうか?
「BNI(Business Network International)という米国発の異業種交流会があるのですよ。この交流会はビジネス・リファーラル(会員同士で顧客を紹介し合うこと)を最大の目的とし、本気でビジネスを融通しあう場です。私はこれに参加して、ずいぶんネットワークを広げることができました」
よくわかっている業界ではありますが、沼田さんにとっては初めての起業であり、厳しい現実に直面することも少なくないようです。
「起業はリスクがあります。本音を言うなら、安定した身分で再雇用、再就職などができるのであれば、冒険することはないと思いますね」
現在、沼田さんは銀座セカンドライフのアントレサロンで、近い世代の起業家と交流するのが楽しみだそうです。「やはり世代が近い人、同じような境遇にある人と話せると助かりますね。そこで話すのは、別に大企業に育てたいわけではない、ゆるく、何十年でも続けていきたいね、ということです」 (取材・構成:藤木俊明)