前々回、法人と個人事業主という独立形態について述べました。法人というと株式会社、と考える方も多いでしょうが、実はそのほかに「合同会社(LLC)」「一般社団法人」「NPO法人」という形態もあり、事業内容によっては、株式会社よりオススメの場合もあります。とくに注目したいのが合同会社と一般社団法人です。
合同会社は一人からでも設立でき、設立費用は電子定款を使えば6万円程度で済みます。株式会社では20万円程度必要ですから、かなりお得ですし、ちゃんと法人格が与えられます。株式会社との違いは、役職が代表取締役ではなく代表社員となること。米国ではこの合同会社という法人組織は一般的ですので、米国と取引するような機会が多い人にはいいと思います。また、事業が順調に発展した場合、株式会社に移行することもできます。株式会社も合同会社も、1人いれば設立できます。
一般社団法人は、事業の社会性が強く、業界団体のイメージを持たせたい場合、有効です。行政と連携を取りたい、あるいは資格検定や独自の認定制度をつくる事業を行いたい方にオススメです。株式会社のチラシをお役所に設置するのはかなり困難ですが、一般社団法人の場合は役所との交渉が行いやすいと思います。
さらに、設立までの期間が短くてすむのも一般社団法人の利点でしょう。2週間以内で設立可能です。場合によっては、1週間で設立というのも不可能ではありません。設立費用は11万円程度必要です。また設立も2人いれば可能です。
ただし、一般社団法人という形態を選んだ場合、金融機関からの融資は受けられないと考えた方がいいでしょう。定年起業の場合は、どんどん借り入れて事業を大きくしていくというより、現状を維持してマイペースで継続していく「ゆる起業」がいいと思いますので、一般社団法人という形態も検討の価値はありますね。 (取材・構成:藤木俊明)