起業の相談を受ける中で多いのが、「個人事業主で独立したほうがいいのか? それとも法人を設立したほうがいいのか?」という起業時の組織形態のことです。わたし(片桐)は行政書士で、得意な分野なので、まず個人事業主と法人の違いについてお話しします。
個人事業主と法人の違いを簡単に述べますと、『個人事業は無限責任』『法人事業は有限責任』ということです。
個人の場合だと、個人名で銀行口座開設を行います。事業資金としての借り入れは、事業主個人の借金と同じ扱いで、失敗すると個人の財産を手放しても債務の支払いをしなくてはなりません。
法人だとどうでしょうか? 借り入れについて言えば、「有限責任のため個人の財産は守れる」というメリットがあります。
他にも、メリット・デメリット両方ありますので整理してみましょう。法人化すると、「給与所得控除が利用できる」「経営者の退職金や生命保険料を必要経費にできる」「赤字を9年間繰り越しできる」「社会保険に加入できる」などのメリットがあります。
そして、なんと言っても「社会的信用がアップする」「銀行の融資が受けやすくなる」「返済不要の助成金の活用がしやすくなる」などが大きなメリットでしょう。
しかし、デメリットもあります。利益が出ても出なくても年間最低7万円の「法人住民税」を支払わなくてはなりません。以前述べたように「(登録免許税など)設立費用がかかる」ことも忘れてはなりません。
社会保険に加入できるのはメリットでもありますが、「社会保険料の負担が増える」というデメリットもあります。また、「税務調査が入りやすくなる」というのも、デメリットと感じるでしょう。
法人化はメリットが多いですが、名刺代わりに安易に作るのは考えものですので、よくご検討ください。 (取材・構成:藤木俊明)