綿貫茂樹さん(67)は新卒で銀行に入社し、都心の支店長や融資推進部長などを経験。50歳になったころ、ホテル業界に転身しました。埼玉県に広大な敷地を持つリゾートホテルの総支配人として、まったく違う業界に戸惑いながらも、ホスピタリティーの大切さを身につけていきました。この時知り合った政財界の人脈が、今も生きているとのことです。
その後、東京に戻り、美容業界、観光バス業界を経て、60歳で定年を迎えました。
「まだまだ元気でしたから、中小企業のオーナーを対象にした経営コンサルタントになろうと決断しました。金融業の最前線からサービス業という違う業界に移り、数多くの経験をしたので、それらの経験がお役に立てるのではないかと起業のプランを温めていたのです」(綿貫さん)
綿貫さんは、WSビジネスコンサルツ(http://www.wsbc.jp)を設立し、弊社(銀座セカンドライフ)のアントレサロンを拠点にビジネスを開始しました。
中小企業オーナーの悩みを聞き、「金融財務の相談」や「経理を理解する営業マンの養成」、さらに「サービス業のスタッフ教育」など約30社にコンサルティングを実施してきました。これは、金融からサービスまで幅広く経験された綿貫さんならではの強みでしょう。
「私のように起業プランを温めている方は、定年を迎える数年前から起業に向けての精神的、金銭的な準備が必要です。今まで会社で経験したことを振り返り、得意なことは何かを整理し、進もうとしている分野の市場性と、そこでの自分の立ち位置などを調査するといいと思います」(綿貫さん)
これは重要なアドバイスです。サラリーマンとして経験した分野を選ぶのか、やりたかった事業にチャレンジするのか、どちらにしても慎重な事前準備と調査が必要なのです。 (取材・構成 藤木俊明)