今回は「ペルソナマーケティング」について説明します。シニア世代が起業するときには、とても有効な方法です。難しいことではありません。
起業してどういうサービスを行うか、どういう商品を販売するか具体的に決めたら、実際に利用してくれそうな人、つまり「ターゲット」を考えますね。その際、ターゲットを1人の「理想の顧客像(=ペルソナ)」に絞り込んで検討するのです。
身近な例で説明しましょう。あなたがリサイクルショップを開業しようと考えたとします。そのとき、利用する人のイメージを1人に絞り込むのです。たとえば、あなたのリサイクルショップの理想のお客さまは、「横浜市」に住む「栗原義男さん(仮名)」で、年齢は「55歳」。「銀行の支店長」をしていて、奥さんと大学生の息子さん、大学受験を控えた娘さんの「4人家族」。子供にお金がかかる時期なので「お小遣いは少ない」。でも、「趣味のゴルフ」は続けたい。「日経新聞」を読んでいて、「悩みは健康」のこと。「太り気味で血糖値が高い」というふうに具体的な人物像を決めていきます。これがペルソナマーケティングです。
「1人だけのイメージに絞って大丈夫? もっと幅広く考えた方がいいのでは?」と思われる方もいるでしょう。しかし、さまざまな顧客を想定すると、多様なメニューや広告、在庫などが必要になり、コストがかかりすぎてしまいます。
前述のように「横浜市の栗原義男さん」と具体的な顧客像を決めて、「栗原さんには、どういうセールストークやキャッチコピーが心に響くのかな?」「どんなところにお店の情報を出せば栗原さんが目にしやすいかな?」「栗原さんが喜ぶ品ぞろえは何かな?」などと検討すれば、無駄なコストや在庫を増やさなくて済みます。
定年起業者にペルソナマーケティングをお勧めしたいのは、「どんなお客さまに来てほしいか?」と自分中心に考えてほしいからです。それにより、本当にやりたいこととの「ずれ」を、できるだけ少なくできるはずです。 (取材・構成 藤木俊明)