年度も改まり、新たに公的な助成金の募集がいろいろスタートする。定年起業を考える読者にとって、助成金は大きな助けになるはずだ。その申請について基本的な知識を整理しておきたい。まず、助成金とは国や地方自治体などから交付される原則返済する義務のないお金のことだ。
助成金にも2種類あり、1つは資格要件を満たしている場合、原則受給されるもの。もう1つは、予算と採択予定件数が決まっており、審査があって申請しても受給できるとはかぎらないもの。起業・創業関連の助成金は後者が多い。
助成金制度には「目的」と「申請要件」が定められている。目的は、商店街で開業するとか商品開発を行うなどのこと。申請要件とは、起業予定者であるとか、どこそこの地域で開業する中小企業であるとかの条件を満たしているかどうかということだ。
申請して無事採択されれば、交付決定日から一定期間に支払った費用の2分の1または3分の2などが助成される。たとえば2分の1助成とすると200万円の費用が認められた場合100万円が助成される。上限額は定められているが、何かと物入りな起業時に助成金の存在はありがたい。
しかし気をつけておきたいのが、助成金は原則後払いだということ。助成金の対象期間が終わった後、帳票や報告書などを提出し、検査を受け、問題がなければようやく振り込まれるものだ。振り込まれるまでの期間は自力で経費や生活費などをまかなわなくてはならない。売り上げが順調に入ってくればいいが、そうならないときは困ったことになる。ある程度の資金準備は必要といえよう。
また、申請書類の作成、経理関係書類の管理、報告書作成などの事務作業も煩雑だ。そのあたりは覚悟しておくべきだろう。(取材・構成 藤木俊明)