現在、シニア世代の起業希望者を対象にした「東京都シニア起業スクール」が開講されている。これは、東京都「女性・若者・シニア創業サポート事業」の地域創業アドバイザーとして認定を受けた銀座セカンドライフ株式会社が運営しているものだ。全5日間のコースを無料で受講できる。昨年定年を迎え、本起業スクールに参加した西田俊徳さん(仮名)は2日目のプログラム「売れる仕組みづくりと集客法を学ぼう」を受講した。西田さんに受講した感想を聞く。まず、同プログラムでは理想の顧客像としての『ペルソナ』やマーケティング手法の『4P』について、さらに競合他社との比較によりポジショニングマップを作成して、自社商品(サービス)のアピールポイントを明確にすることを学んだとのことだ。
次いで自社商品を知ってもらうための名刺、チラシ、会社案内、ホームページをどうやって作成し、配布するかなどの具体的な手法をレクチャーされたと話す。「自社商品の位置づけやマーケティング分析などは、会社在籍時に日常業務としてなじんでいたはずでしたが、大きな流れに身を置きながら役割意識の下で着手するのと、起業時にゼロから立ち上げるのでは質が違いますね」(西田さん)
自分の商品(サービス)を知ることが大切だと認識したと西田さんは続ける。「名刺、チラシ、ホームページなどの告知物作成についての具体的なアドバイスも面白かったですね。今まであたりまえに見ていたものが、ユーザーから送り手側になったときに、どうやって作るのか? 自分個人の情報の無さをあらためて認識しました。他の受講生からの質問も多かったです」
組織にいれば誰かがやってくれていたあたりまえのことを、実は知らなかったことに気づくのも定年起業の現実かもしれない。(取材・構成 藤木俊明)