介護サービス業界にこれまでの知見を生かしたい-。
高舘和洋(たかだて・かずひろ)さん(55)は大手金融グループの主に不動産部門で活躍してきた。ところが子育てが一段落した奥さんが介護関連の仕事を始めたところ、才覚を存分に発揮し、5年前に訪問介護・障害者支援事業所「カレッジケア」を運営するホープウェル株式会社を起業する。高舘さんも仕事の合間に経理業務などをサポートしてきた。手伝ううちに奥さんの才能と介護サービス業界の可能性に気づく。
「身内のことなので言いにくいのですが、女房には大きな才能があります。自分は裏方としてプロデュースしてみたいと思ったんです」(高舘さん)
高舘さんは早期退職し、奥さんの会社を役員としてサポートしながら、自分の知識や経験を介護サービス業の未開拓分野に生かしたいと2018年、株式会社カブスを設立する。
「自分は主に不動産・建設業に従事してきました。そこで出会った大切な人脈があります。介護サービス事業を充実させながら、その周辺ビジネスを含め、今まで培った知識を生かした事業展開を図りたいと思っています。介護福祉事業を主軸にして地域の福祉拠点化(住宅、カフェ+α)事業をやらないかなどの相談が持ち込まれます。そういう案件は役割を切り分け、最終的にコラボできればと考えています」 高舘さんはまず介護現場を知ることから始め、現場が想像以上に大変で、さまざまな制度にしばられていることを認識する。しかし、未熟であり、日々変化を求められ改革をし続けなくてはならない業界だからこそ、まだまだできることがあると確信したという。「この業界を取り巻く環境には未知数の可能性が埋もれていますよ」と力強く語った。
(取材 構成 藤木俊明)